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■第5回「スターライト・マジックと、ファンタジアの挑戦」

先生   「そういえば、君たちは東京ディズニーランドの『スターライト・マジック』はもう見たかい?」

よしひろ君「見ました!お城がきれいでしたね。」

るいちゃん「あの炎はみんなが驚いてました」

先生   「うん、それじゃ、そのショーが始まる前のアナウンスを覚えてる?」

よしひろ君「うーん、何か話してましたけど・・・覚えてないですね。」

るいちゃん「なんか『ファンタジア』の話をしてませんでしたか?」

先生   「そのとおり。こんなことを話していたんだ・・・

ウォルト・ディズニーのアニメーションに対する情熱、
そして、クラシック音楽への愛情は、映画「ファンタジア」で 一つになりました。
それ以来、クラシック音楽をインスピレーションとして、
想像力豊かなビジュアルイメージを作り上げるアイデアは、
ディズニーの伝統となっています。
そして今夜、その伝統を守り、花火と特殊効果を駆使した、
新しいファンタジアをお送りします・・・。

 今回はそのファンタジアから、映像と音楽の融合に関して講義していこう。ファンタジアは短編をいくつか集めて一本に仕上げた作品なのだけれど、明らかに他の長編映画とは一線を画している。この作品は映画と音楽の融合という意味を、ある意味一歩進めた貴重な作品なんだ。」

よしひろ君「映画と音楽の融合だったら、それまでの短編映画でもやってますよね?あの『蒸気船ウィリー』だって見事でしたよ」

先生   「うん、蒸気船ウィリーを始めとする従来の長編映画は映画と音楽を同時進行で作っていた。でもファンタジアは異なるアプローチをしているんだ。この作品は既存の曲、それもクラシックというジャンルの曲に合わせた映像を作っているんだ。」

るいちゃん「ファンタジアって、ミッキーが魔法使いの格好で出てくる映画でしょ?」

先生   「そうだね、まずはそこからが入りやすいから『魔法使いの弟子』からスタートしようか。実はこの作品がファンタジアを作るきっかけだったんだ。そのころ、ミッキーは今の性格とおなじように、とってもまじめで紳士のようなキャラクターになっていた。ところがこの性格が災いしたのか、アメリカではミッキーよりも、ギャアギャアわめく、ヒステリーなアヒルの方が人気が出ていたんだ。」

るいちゃん「ドナルド!」

先生   「そう。この状況を憂いたウォルトが、ミッキーに活躍の場を与えようと考えたのがこの作品。ウォルトは指揮者のレオポルド・ストコフスキーにこの話を持ちかけたところ、彼も音楽の大衆化に強い興味を持っていたのもあって二人はすぐにテストフィルムを制作したんだ。ところが、これにかなりのお金をかけてしまったため、短編ではペイしないことがわかったんだ。ウォルトらしいね。」

よしひろ君「だから長編になったんですね」

先生   「そこから他の作品を作ったので、制作にはとんでもなく時間がかかっているんだ。ただ見てもらうとよくわかるんだけど、この作品の映像と音楽との融合は大成功しているといえるね。初めて見たときにはびっくりしたよ。特にその融合が顕著に現れているのが1曲目の『トッカータとフーガ 二単調』。この作品に限って、映像は非常に抽象的で、音の色合いと動きを表現している。」

るいちゃん「でも、あまりメジャーではないですよね、『ファンタジア』って・・・」

先生   「そうだね。この作品がプレミア上映されたのは1940年11月13日なんだけど、このときの評価はひどいものだった。そりゃあ大衆は『白雪姫』のようなものを期待していたのに、とんでもなく抽象的である意味地味な作品が出てきたわけだから。それに音楽評論家は『文化に対する犯罪』とまで言うくらいだったそうだ。この映画が再認識され始めたのはサイケ時代になった1960年代から1970年代あたりだったんだけど、すでにウォルトは他界していた・・・。あまりに時代を先取りした作品だったと思うよ。」

よしひろ君「先取り?」

先生   「最初に話した『スターライト・マジック』に戻るけど、先生はあれを見て、本当にファンタジアのシーンを思い出したんだ。映像とクラシック音楽が融合し、それが映画ではなく現実のシンデレラ城がきれいに彩られる・・・冒頭のアナウンスは本当に真実で、あれこそがファンタジアの発展系だ、と心から思ったんだ。だから、あのショーを見た人には、ぜひファンタジアを見て欲しいと思うんだ。ウォルトは、ファンタジアについてこんなことを話していたんだ。

ファンタジアは時代を越えた映画だと言えよう。
10年、20年、30年後もずっと鑑賞されるに違いない。
この作品は、アイディアその者を具体化した唯一の形式であり方法であって、
かわりの作品など作ることが出来ない。
改良したり手直しは出来たとしても、それ以上のことは出来ない

--Walt Disney

るいちゃん「ウォルトは、すべてわかっていたみたい・・・すごい先見性があるんですね。」

よしひろ君「改めて彼は天才だったんだ、と思いますね。」

先生   「ファンタジアに関しては、実は続編が予定されている。1999年の12月31日に公開されるファンタジア2000では、ミッキーこそ登場しないけれども、前作と『スターライト・マジック』をどう越えてくれるのか、楽しみな作品だね。」

二人   「ありがとうございました!」

(Written by postmaster, January 31th,1999)


参考文献

  • LD「ファンタジア」ライナーノーツ「ファンタジアの驚異」:日野 康一


脚注)

注1 スターライト・マジック
スターライト・マジックは1998/07/17〜1999/03/19まで行われている、15周年記念のナイト・スペクタキュラー。従来は単に(失礼)花火のみであったが、このショーではシンデレラ城を「擬人化」し、ステージパイロと呼ばれるショー用の小型花火を用いた素晴らしいショーとなっている。現在のテーマパークのナイトエンターテイメントとしては文句なくいちばんすごい。印象的なのは、どんな人であれ見た後は言葉を一様に失っていて、感動していることですね。まもなく終了予定・・・寂しくなるなあ。

注2 クラシック
ちなみに、使用されている楽曲は『トッカータとフーガ 二単調」「くるみ割り人形」「魔法使いの弟子」「春の祭典」「交響曲第6番 田園」「時の踊り」「はげ山の一夜」「アベ・マリア」。ちなみに、「はげ山の一夜」でビバ!マジックやファンティリュージョン!で登場するチェルナボーグが出てきます。ビバ!マジックのラストシーンはこの作品をもとに作れられており、悪霊たちが登場後、聖なる鐘の音によりチェルナボーグ眠りにつく(滅びるわけではないことに注目。決して彼は「悪」ではなく、「陰」だと私は思う)というシーン運びは、初めて見たときに相当感動しました。

注3 魔法使いの弟子
 もっとも有名ですね。このシーンは東京ディズニーランドにおいてビバ!マジックでも見られますし、「ミッキーマウス・レビュー」でも使ってますね。ファンタジアのインターミッション後で登場するサウンドトラック氏は、まさにミッキーマウス・レビューのプレショーで使われている映像のホストそのもの。ちなみに、この短編でミッキーを弟子にとっている魔法使いの名前はYensid(イェンシッド)という名前なのですが、これはdinseyを逆さにしたもの。この映画の中でもウォルトとミッキーは師弟関係なんですね。

注4 ミッキーこそ登場しない・・・
そのかわり、ドナルドが「威風堂々」にて出演するとか。

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