史上初のアトラクションオープン前に、補助線みたいなものを引いておきたいと思います。

ミッキー初のライドアトラクションがとうとう登場
2020年3月4日、ウォルト・ディズニー・ワールドにて最新の、そしてミッキー&ミニー初のライドアトラクション「Mickey & Minnie’s Runaway Railway」がオープンします。オープンを間近に控え、現在ではキャストのトレーニングが開催されているという動画も公開されました。
このアトラクションはフロリダ、ウォルト・ディズニー・ワールドだけでなく、2022年2023年にはカリフォルニアのディズニーランド、トゥーンタウン内にもオープンする予定です。東西パークで同じアトラクションを展開する戦略はStar Wars: Galaxy’s Edgeでも同様でしたので、ディズニーのパーク部門がこのアトラクションにどれだけ力を入れているかが分かると思います。

新作短編「Perfect Picnic」がベース、ということは……
このアトラクションですが、ミッキーのトーキー初出演作「蒸気船ウィリー」で利用されたホイッスルを再利用するなど、ミッキーの歴史へのリスペクトも忘れてはいません。しかしながら、そのスタイルは最新のミッキー短編シリーズである「A Mickey Mouse Cartoon」(邦題:ミッキーマウス!)を踏襲。つまりこの短編シリーズは“最新のミッキー”であるということを明確にメッセージとして打ち出しています。
短編ミッキーはパイカットの目に戻っただけでなく、そのスタイルはかなり初期の“やんちゃな”ミッキーに戻っており、ともするとこれまでのパークの(特に舞浜の)ミッキーとは異なるように見えるかもしれません。
そこで今回は、ミッキーとミニーの最新スタイルを感じることができる短編作品を5本に絞り紹介します。ボクはこちらのミッキーも大好きなので、ぜひ皆さんもこっち側のミッキーを堪能してほしいから。
2017年バースデー作品「The Birthday Song」
基本的にミニーといえば歌。ミニーの歌といえば「盲目的なミッキーへの愛が爆発することで、ともすると第三者からは爆笑ソングになってしまう」という事象が発生します。個人的には「ミッキーバカキャラソン」と呼んでおりますが、そのバカキャラソンが楽しめる作品が、2017年に発表されたこの作品です。基本的に主人公はミニーさん。
本作を1本見るだけで、このシリーズにおけるミッキーとミニーの表情がもはや神の域に達していることが分かるでしょう。表情というより変顔。特にミッキーが目をつぶっている後ろでドタバタが繰り広げられるシーンは最高。オレデミー賞受賞です。
ただこれ、今回紹介する中ではかなりお行儀がいい方です。
化け物を生み出してしまった……!「The Fancy Gentleman」
ミッキーを称して化け物とミニーが発言するのはパークでは考えられないでしょう。本作はミッキーが紳士的に洗脳されるというとんでもないストーリーなのですが、そのおかげで二人は破局の危機に……。あとミニーの鼻の穴が明確に表現されるのも見たことがないです。
おかげでミニーの性格の認識は大きくずれることに。あと冒頭のブリーフ姿のミッキーも最高オブ最高。
25セント不払いの罪悪感ゼロ、「For Whom the Booth Tolls」
タイトルは「誰がために鐘は鳴る」(For Whom the Bell Tolls)のパロディ。
やはり本作は冒頭の入場料25セントをちょろまかして、一切の罪悪感なしでアクセルを踏むミニーでしょう。どっちかっていうとこのシリーズはミッキーよりもミニーのほうが暴走率が高く、それはシーズンを追うごとにひどくなっているという印象です(今回の5本もほぼ最近のシーズンのみで構成)。あと回が進むごとにミッキーミニーの変顔も進化しているので、この変顔だけを集めたラウンジフライバッグがでないかなーと日々妄想しています。
フィフィファン待望「You, Me and Fifi」
プルートの恋人としてたまーに登場するフィフィがとうとう短編シリーズでも。しかしその描き方は目を覆うほど。ミッキーが自分をどういう存在であるかをフィフィに説くシーンは、そりゃそうかもしれないけどお前がいうんかい感がすごい。そしてこれ、Disney DELUXEの吹き替え版ではカットされていますがむしろ本番は最後のエンドロール。ミニーさんご安全に。
2010年代最高のバカキャラソン「Carried Away」
現時点では最新作にして最高傑作。ミニーが自作の歌をミッキーに聴かせるだけの短編。歌の内容もさることながら、その最後に意識的なのか無意識なのかミッキーを追い込むミニーの姿が怖い。
ちなみに本シリーズにおいては、ミッキーマウスの声はブレット・イワン氏ではなく、クリス・ディアマントポロス氏が担当しています。ミニーの声はパークなどと同様、ルシー・テイラー氏が担当していますが、本作の公開直後に逝去されました。
とにかく見よう「ミッキーマウス!」
2019年7月の上記「Carried Away」をもって、シーズン5を完走。2020年のアニー賞ではBest Animated Television/Broadcast Production for Childrenを「Carried Away」が、Outstanding Achievement for Directing in an Animated Television / Broadcast Productionを「For Whom the Booth Tolls」(Alonso Ramirez-Ramos)が受賞しています。
現時点では5シーズン、全94話があり、そのすべてがDisney DELUXE/YouTubeで公開中。また、クリスマススペシャルとして「Duck the Halls: A Mickey Mouse Christmas Special」、ハロウィーンスペシャルとして「The Scariest Story Ever: A Mickey Mouse Halloween Spooktacular!」の中編が公開されています。94話といっても1本約4分(一部作品は7分)で、がんばればさくっと全部見られます。
LINK: Mickey Shorts | New Mickey Mouse Cartoons – YouTube
見ていただくとお分かりのように、いわゆるクラシカルな短編シリーズとはキャラクターの立ち位置も違っていて、非常にモダンな作品となっています。ミッキー主役の作品がほとんどながら、ピートを中心とした完全BL作品や、ファンタジアを再現するかのようなアーティスティックな作品、パークに関するいろんな小ネタがちりばめられた作品など、実はかなりの情報量があるものです。
既にディズニーランドの夜のエンターテイメント「Mickey’s Mix Magic」などでは本シリーズからの引用が多数盛り込まれており、パークにおけるミッキー映像はこれがベースとなっているといって良いでしょう。
そして、今回2020年3月に華々しくオープンする新アトラクション「Mickey & Minnie’s Runaway Railway」。このアトラクションはA Mickey Mouse Cartoonシリーズの最新作「Perfect Picnic」のプレミア上映を、フロリダではチャイニーズ・シアターで、そしてカリフォルニアではトゥーンタウンの“El CapiTOON”で上映するというところからストーリーがスタートしています。

そのため、このアトラクションを楽しむ前には、できる限り短編ミッキーの作品を見ておくことが重要だと思っています。幸い、(ハロウィン中編以外は)Disney DELUXEで吹き替え版をまとめて見ることができます(余談ですが、シーズン5からは星野貴紀ミッキー。パークほどの違和感はないです)。
いきなり94本見ろというのは酷ですが、上記5本だけでもぜひチェックを。アメリカにおいては、子どもたちが映像に映るミッキーとしてイメージするのは多分こっちの方。その意味では私たちのミッキー感も、複数あるであろうミッキーバースの1つとして、これに合わせておくというのはアリかもしれません。
おまけ
おそらくキューラインに飾られているであろう、アトラクションのために描き下ろされた新たなポスター群が順次公開されています。全部売れ。
そしてついでに。なんと!!!Christpher Willisさんはこのシリーズの作曲家。