ABC、出演女優のヘイトスピーチ投稿で人気コメディ番組を打ち切り

こちら、2018年5月末のお話ですが、ジョン・ラセター氏の休職に伴うストーリーとも関連するのでメモとして残します。

LINK: CNN.co.jp : 米人気ドラマ「ロザンヌ」打ち切り、主演女優が差別ツイート

日本からはあんまり見えない方のディズニー。ディズニー傘下の放送局、ABCにおいて大きな事件が起きました。アメリカにおいて放送されていた人気コメディ(シットコム)「ロザンヌ」の主演女優が投稿したたった一つのツイートが原因で、番組打ち切りからCEOのコメント、さらにはアメリカ大統領による言及にまで発展した事件がありました。

まず前提として。ABCは1988年から1997年まで放送されていたコメディドラマ「ロザンヌ」を、主演のロザンヌ・バーとともに2018年に復活させ、大人気番組として受け入れられました。ところが5月29日早朝、主演のロザンヌ・バーが人種差別を含む内容をTwitterに投稿します。

ロザンヌ・バーはこの投稿を一時間後に削除しますが、ABCはこれを問題視し、即座に(数時間内に)大人気ドラマである番組自体の終了を決定し、Twitter上でABC社長名にて声明を発表します。

この決定に関して、その直後にディズニー社CEO、ボブ・アイガーも決断を支持する投稿を行いました。

この事件に関しては、トランプ大統領も激しく(ボブ・アイガーを)非難する投稿を行っています。

この対応は半日以内に行われ、ロザンヌ・バーはたった一つのツイートで新シーズンだけでなく、旧作の配信から上がるであろう収益もすべて失いました。この流れの詳細は猿渡さんの記事に詳しいです。

LINK: 1本のツイートでキャリアを失ったスターの愚行と、トップ番組を容赦なく切ったテレビ局の英断(猿渡由紀) – 個人 – Yahoo!ニュース

今回この話を取り上げたのは、アメリカにおいてヘイトスピーチがいかに“まずい”ものなのかという点と、大企業、特にメディア企業が不祥事に対してどのようなスピード感で対処しているのかという点です。

アメリカにおいてはヘイトスピーチが、そしてハリウッドにおいてはセクシャルハラスメントが完全な禁忌になっており、それが発覚した場合、「関連する人たちがその事実を知り得ていたかどうか」ということも重要視されます。例えばセクシャルハラスメントの事件においては当事者だけでなく、過去相談を受けたが何もアクションをしなかったという俳優も大きなバッシングを受けています。ディズニー/ABCがロザンヌ・バーによる投稿に、数時間以内で大きな決断を下してきた背景には、そのような事情があります。

そして、その上で「ジョン・ラセター氏休職」を見てほしいのです。

ジョン・ラセター、半年間の休職を経て2018年末にディズニー/ピクサーを退任(update)

ジョン・ラセター氏に関しては、ディズニーもボブ・アイガーも表だって“セクハラ”を指し示して非難する声明文を出していません(メディア向けの否定コメントは出ている)。万が一日本のメディアが指摘するように、この休職がセクハラによるものであった場合、ディズニーはロザンヌ・バーへの対処同様、毅然とした、かつスピード感のある対処が行われていたはずです。そうでなければ、ディズニーというブランドそのものが毀損されるリスクが大きいからです。

その点を考えると、ジョン・ラセター氏の休職理由が、世間で思われているものではないかもしれないという可能性が大きいわけです。その意味で、このロザンヌ・バーによるヘイトスピーチへの対応は記録しておくべきだと思いました。遅れましたけれど。