毎日新聞「TDR第三パークのテーマは」報道で気になったこと

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個人的には「第3パークだとしても“スカイ”はない」と思ってますけれど。

LINK: TDR:ディズニー新パーク 次は「空」 22年度にも – 毎日新聞

不可思議な報道がありました。毎日新聞は2018年2月4日、「TDR ディズニー新パーク 次は「空」 22年度にも」という記事を公開しました。正確を期すため、その内容の重要な部分を引用します。

空や宇宙をテーマにしたアトラクションやエリアの建設を検討しており、名称を「ディズニースカイ」とする案も浮上している。2019年度に着工し、3年間かけて建設して22年度の開業を目指す。
LINK: TDR:ディズニー新パーク 次は「空」 22年度にも – 毎日新聞

同社の関係者は「ディズニーシーのように世界に一つしかないパークを造りたい」として、ディズニーリゾートとして世界で初めて「空」をテーマに据え、宇宙旅行やジェット機での飛行を疑似体験できるアトラクションの導入などを検討している。
LINK: TDR:ディズニー新パーク 次は「空」 22年度にも – 毎日新聞

新パークでは、紙の入場券ではなく、スマートフォンを使った電子認証で入退場できるようにする方向だ。園内に設置するセンサーなどで来場者の移動データやアトラクション利用データを収集分析し、ピーク時の分散化を図ることも検討している。
LINK: TDR:ディズニー新パーク 次は「空」 22年度にも – 毎日新聞

 新パーク構想は4月下旬~5月上旬の発表を目指して、詳細な検討を進めている。
LINK: TDR:ディズニー新パーク 次は「空」 22年度にも – 毎日新聞

なお、この記事の公開後、オリエンタルランドは「東京ディズニーリゾートの拡張等に関する一部報道について」というリリースを発表、こちらも引用します。

2018年2月4日付の一部報道において、東京ディズニーリゾートの拡張等に関する記事が掲載されましたが、当社として発表したものではありません。
なお、2016年4月27日に発表いたしましたリリース「東京ディズニーランド®/東京ディズニーシー® 今後の開発計画について」に記載のとおり、2021 年度以降の開発方針につきましては、東京ディズニーリゾート全体の価値向上に向けたさまざまな検討を進めております。
LINK: 東京ディズニーリゾートの拡張等に関する一部報道について

念のため、こちらの記事も合わせて。

先に言っておきます。「知らんけど」。 (この記事は2017年12月26日に開催した、dpost.jpミートアップで話した内容を再構成したもの...

ファクト部分を整理する

まずは客観的に、この記事に関する事実部分をチェックします。この情報の“出どころ”が重要なのですが、今回についてはその主語が不確かであり、2017年11月に報道された共同通信経由の記事では「関係者によると」という文言がありましたが、今回はどこからの情報なのかを記載していません。

その第3パーク建設が正しい情報だとして、さらに気になるのは工期。この記事では「2019年度に着工し、3年間かけて建設して22年度の開業を目指す」としています。今回の記事はこの2点。「情報源は言えないが、オリエンタルランドが空をテーマにした第3のテーマパークを、工期3年2022年にオープンする」という内容です。

ファクト部分からこの話の裏を想像する

当然、このようなリーク系記事は情報源の秘匿が必須ですので、その点はいいのですが、気になるのは

「同社の関係者は「ディズニーシーのように世界に一つしかないパークを造りたい」として、」

という部分のみがファクトであり、その後に続く「ディズニーリゾートとして世界で初めて「空」をテーマに据え、宇宙旅行やジェット機での飛行を疑似体験できるアトラクションの導入などを検討している」部分が関係者のコメントなのかがはっきりしない点です。

そしてそのエリアと工期。駐車場エリアというのは東日本大震災時に液状化現象を起こした場所であり、パーク内およびホテルに対しては開園前から地盤改良を行っていたという表記はしているものの、該当エリアである駐車場に対しては記載がありません。このため、なにをするにもまずは地盤改良をしてからでないと、あの場所に建物を建てることは難しいのではないかと想像しています。それが工期3年でできるとは思えません。

LINK: 東京ディズニーランド/東京ディズニーシーの建物、施設について(3月28日現在)

その他細かい点、「園内に設置するセンサーなどで来場者の移動データやアトラクション利用データを収集分析し」の部分も突っ込んでおきます。もしこれを実現するとなると、ウォルト・ディズニー・ワールドで導入されているRFID内蔵デバイス「MagicBand」を導入することになりそうですが、ディズニーランド・リゾートのような都市近接型テーマパークである東京ディズニーリゾートでは、ホテル滞在ではなく1日だけ利用するゲストが多いこともあり、このデバイスを全員に付けることがほぼ不可能です。

ゲストが持つスマートフォンそのものを利用するということも頭に浮かぶと思いますが、そうするとプライバシーの問題がつきまといますので、導入のメリットよりもリスクの方が上回るでしょう。というよりそんなことをしなくても、オリエンタルランドはすでにかなりの動線/移動計測ノウハウを持っているはず。

まあ今回の東京ディズニースカイは商標的にもなさそうですが、「空」をテーマにした何かは作ってるんだろうなーくらいでしょうかね。それがパークなのかアトラクションなのか、はたまた全く違う何かなのかは分かりませんが。

実は一番気になっているところ

それは、今回反応したオリエンタルランド社のリリースです。

LINK: 東京ディズニーリゾートの拡張等に関する一部報道について

IR文学的「否定に見えるけど否定はしてませんよ」の定型文です。なんか周辺ウォッチャーも世代が一巡したのか「毎日新聞wwww即座に否定されてるwwww」みたいな反応が増えたような気がしますけれど、IR文学的にはあくまで自社が発表したものではないという事実のみで、実際には「内部で検討していない」とも、「検討中」ともいっていないことに注目すべきなのです。それに本気の否定はオリエンタルランドもちゃんとできるんですからね。

平成22年12月3日付の一部報道において、上海ディズニーランドへの当社の経営参加に関する記事が掲載されましたが、当社として発表したものではありません。

また、上海ディズニーランドの経営参加に関しまして、ディズニー社との協議を行ったことはなく、従いまして、経営に参加する方針を固めた事実、およびディズニー社に打診した事実は一切ございません
LINK: 上海ディズニーランドの経営参加に関する一部報道について

で、実はすっごい気になってたことがあったんです。前回は日経報道と共同通信報道で、若干の差がありました。特に共同通信側は「事実上の第3のテーマパークと位置付けて」というパワワが入っており、それに対応するOLC側リリースはまとめてぶった切られていたわけです。どちらのなにに対するコメントなのか(特に事実上の第3パーク…部分)がはっきりしないのが惜しかったと思っていました。

ところが、今回の記事は「第3パーク」という表現が行われました。となると久々に本気否定リリースが来るのか!と構えていたものの、その内容は上記の通り。あれ、そこは否定しないの?

ということでIR深読み隊の感想としては、ここで本気否定が出てこなかったことは……いったいどんな理由が隠されているのだろうか?!(答え:前回のコピペ)


どちらにせよこの話の結末は、D23 Expo Japan 2018ではなく、株主総会前の2018年度決算と同時に、実現する/しないに関わらずコメントがでるでしょう。Expoでは「なにげない和太鼓演奏がチケット購入者をきずつけた」みたいなことにならないといいですね。

余談

こんなことをやっているイマジニアが、単純な「空」なんて出すわけがない。

LINK: See the Amazing Concepts that Won Imagineering’s Imaginations Design Competition! – D23

LINK: Disney Inspires Next Generation of Imagineers through Imaginations Design Competition – The Walt Disney Company

いやー、上位3組のうち2組までが「日本」テーマで、3位のOtis College of Art and Design組は日本人のみで結成されているチームですよ。いったい何が始まるんでしょうかねー。

追記:2018年2月16日

この記事を書いた、経済部の今村茜記者が動画でこの記事を紹介しています。

感想としては、裏付けある話し方にはあんまり聞こえないかな……というのが本音。ソアリンやAvatar Flight of Passageを知っているような感じではなかった。それにあくまで混雑緩和策はパーク拡張で行なっており、さらに新パークを作る必然性も語っておらず。うーん。

LINK: Mainichi Live:第18回「平昌五輪見どころ」を解説 – 毎日新聞