ディズニーランド・リゾートのダウンタウン・ディズニー、およびウォルト・ディズニー・ワールドのディズニー・スプリングスに新たなスター・ウォーズ要素が登場します。しかもこれすごい。

The-VOID (c)Disney/(c) Lucasfilm
LINK: Star Wars: Secrets of the Empire Hyper-Reality Experience Coming This Holiday Season | StarWars.com
ディズニーランド・リゾートおよびウォルト・ディズニー・ワールドに新たな体験ができる施設が登場します。ヘッドマウントディスプレイと体感型ハードウェア機器を連動させる「ロケーションベースVR」を提供する企業、The VOIDとウォルト・ディズニー社、そしてルーカスフィルムが共同で新たな体験を提供する「Star Wars: Secrets of the Empire」を、2017年ホリデーシーズンにスタートすることを発表しました。これはいわゆるVRを利用したスター・ウォーズのアトラクションといえます。
現時点ではK2-SOっぽいドロイドを含む、アートワーク1枚のみが公開されています。既にThe VOIDは同様の仕組みで「ゴーストバスターズ」のアトラクションを提供していて、その動画を見ると今回発表のあったStar Wars: Secrets of the Empireがどのようなものになるか、なんとなく分かるはずです。これ見るとそのスゴさが見えますね。
この新アトラクションはルーカスフィルムのラボ、ILMxLabも協力しています。ILMxLabは“没入感”(Immersive)エンターテイメントを研究する部門。
LINK: ILMxLAB | Immersive Entertainment from Lucasfilm
そしてその主体となるThe VOIDという企業は、ディズニーのインキュベーションプログラム「Disney Accelerator」2017年の選出企業です。すべてがつながってきた!!!
LINK: 2017 Companies – Disney Accelerator
興味深い点は2つ。まずはここ最近のテーマパークで頻出する「没入感」というキーワードを、スター・ウォーズでぶちかましてきたこと。特にディズニーテーマパークにおいては、2019年にオープンさせる「Star Wars: Galaxy’s Edge」(スター・ウォーズ新エリア)に向けて、スター・ウォーズの世界をさらに浸透させる必要がある重要なタイミング。そこに最新の技術を突っ込んできたという点で、ディズニーが本気であることが分かるのがすごくうれしいです。

そしてもう1つは、とうとうディズニーがVRに“再参入”を仕掛けたということ。再というのはもちろん、ウォルト・ディズニー・ワールド、ディズニー・スプリングス(というよりはダウンタウン・ディズニー)に存在した、DisneyQuestの挑戦を指しています。

以前イマジニアの講演を聴いたときには、このDisneyQuestによるヘッドマウントディスプレイを使った“没入感”は、ソフトウェア的な課題に加え、ヘッドマウントディスプレイのメンテナンスや消毒などの、ハードウェアの問題も多かったといいます。屋内型テーマパークの実験ともいえるDisneyQuestの挑戦は先代のマイケル・アイズナーによるもので、1998年6月にオープンしています。その時代にVRに本格投資したという点では、これは失敗とはいえず、実にディズニー的な“挑戦”だったと思います(なお、現在はVR技術を「イマジニアの創造の補助」として活用中)。
LINK: ディズニーの夢と魔法を実現する最新テクノロジーの世界 (1/4) – MONOist(モノイスト)
そのDisneyQuestも2017年7月にクローズ。それ以前にもディズニーは、当時のCOOであるトム・スタッグス氏によるコメントとして、「ディズニーパークスはデジタルには移行しない」とし、VRには進まないのではと考えられていました。同様のコメントは、現CEOであるボブ・アイガー氏も行っています。確かに最近のアトラクション、特に上海の「Pirates of the Caribbean Battle for the Sunken Treasure」、そしてディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーの「Guardians of the Galaxy: Mission BREAKOUT!」などは、視線の誘導を行うことで裸眼においても立体視を行うという超絶技巧的な方法をとり、VRゴーグルや3Dグラスなしでも立体感を出しています。
ウォルト・モスバーグが「ディズニーは物理的なパークではなく、デジタルに移行しないのか?」的なことを問うと、トム・スタッグスが「パークは360度+五感で感じるもの」だと即答。アトラクションの演出や効果は相当デジタル化されていると、新スターツアーズなどの事例を紹介していました。
LINK: トム・スタッグス、 D11 conferenceでMyMagic+/MagicBandを語る | dpost.jp
Walt Disney Co.’s chief executive has no interest in having theme park visitors strap on virtual reality headsets that block out their view and place them inside a digital world.
LINK: Bob Iger says no to virtual reality headsets at Disney parks, aims for augmented reality instead – LA Times
しかし、やはりVR自体は研究しなければならないものなのでしょう。そういう意味では、Disney Accelerator参加企業を前面に出し、自社の有用なIPを使って、パーク外でプログラムを展開するという手法にうなります。これは本当に体験してみたい!日本にも来ないですかねー。