これは興味深い動き。
まずは香港ディズニーランドから。2016年9月11日に11周年を迎えた香港ディズニーランドにて、来年就任となる新たなアンバサダーが発表され、ミニパレードが開催されました。その様子はキャスト、イマジニアの公式Facebookページ「Magic Post」に掲載されています。
LINK: 米通 Magic Post
今回選出されたのは、男性のセキュリティキャストであるSammy Phuさん(中央の方)。パレードでも(おそらくキャストから)絶大な支持があることが分かります。多分人望が厚い方なのだろうなあ。
そしてウォルト・ディズニー・ワールドの2017-2018アンバサダーも決定したようです。なんとこちらも男性2名のチーム。グランド・フロリディアンのキャスト、Kenさんと、ショーに出演していたパフォーマーというBrandonさんの2名です(正式発表があり次第追記します)。
Walt Disney World has selected their 2017-18 Ambassador Team. Congrats to Ken and Brandon https://t.co/IvQw9sxMli pic.twitter.com/1oQJpbkVwm
— LaughingPlace.com (@laughing_place) September 12, 2016
Disney World announces its new ambassadors, who will serve during '17 and '18. https://t.co/6llAZRY0Vq pic.twitter.com/WabdHbiLPE
— Dewayne Bevil (@ThemeParks) September 13, 2016
水を飲むアンバサダー pic.twitter.com/fikvHcnSR8
— JosEndgame (@hm_bigjosedilla) September 12, 2016
なお、既に発表のあるディズニーランド・リゾートのアンバサダーはこちらの記事を。

ディズニーランド・パリでは候補が発表済みで、あとは東京ディズニーリゾート、アウラニ・ディズニー・リゾート&スパ、上海ディズニーランドのアンバサダーも今後決まっていく予定です。
しかし驚いたのは、立て続けに「男性」キャストが選ばれているということ。しかも若い方だけでなく、Sammy Phuさんのような方が選出されているのは大変うれしいことです。東京ディズニーリゾートのアンバサダー候補はおそらく9月末〜10月初旬に発表があるのではないかと思います。どうなるか楽しみですね。
以下、完全に余談です。
なんとなくですが、この背景には「アンバサダーは若い女性の仕事」という先入観への“反動”がアメリカで起きているのではないか、とも思えます。ここ最近アメリカにおけるポリティカル・コレクトネスは行き過ぎというレベルで活発化していて、特にジェンダー周りはタブーも多く、それを先回りした選出だったのではないかと思えるほどの大きな動きに感じます。
このポリティカル・コレクトネスに関しては特にエンターテイメント界、ハリウッドで顕著で、私はまだ見ていませんがリメイク版「ゴースト・バスターズ」は作品内容よりも男女の役割に関しての注目が激しく、多くの攻撃を受けていた/受けている状況です。クリス・ヘムズワースの役どころがいわゆる女性でいうところの(ステレオタイプな)「ブロンド」と聞き、やるなあとw
そしてこれはディズニー界も他人事ではありません。2016年5月にディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーにてスタートした「Frozen – Live at the Hyperion」において、いわゆる「カラーブラインド・キャスティング」が行われたことが記憶に新しいです。


カラーブラインド・キャスティングとは、イギリスのミュージカルなどで顕著な動きで、ストーリー上の人種などの設定とは切り離してキャスティングを行うこと。時代設定上あり得ないキャスティングであっても、役者の力を主軸に考えるべきだというものです。DCA版Frozenが最初ではなく、「アラジン」のときも同様のことが行われましたが、多くのファンがこのキャスティングに違和感をもったという反応をしていました。
ところが、いまのアメリカはその反応に対しても、大きな拒絶反応を起こしているようです。つまりそれは「カラーブラインド・キャスティングに文句を言うことはポリティカル・コレクトネスに反する」。これが問題であると表明することこそが問題である、というスタンスです。実際、Frozen舞台版に関してMiceChatが(わりと軽い気持ちで)「これ、どう思う?」という記事を掲載した直後、多くの方が「それを問題だと思うほうが大問題である」と言及していました(つまり、いま私が書いているこの記事もポリコレ的には妥当ではないと思っています)。
新しく始まったFrozenステージが”カラーブラインドキャスティング”であることについて書いたMiceChat記事に対してかなりの反応があって、その反応というのが「そもそもこのキャスティングに対して興味深いとか問題であると考えること自体が不適切」という内容なのがすごくアメリカ的。
— Takeshi Miyata (@mtakeshi) June 4, 2016
似たような問題は舞台版のハリー・ポッターでも議論されていたので、こちらもあわせてどうぞ。
差別意見におこです
舞台版「ハリポタ」、黒人ハーマイオニーへの差別意見に原作者「ハーマイオニーは黒人女性であり得ると言明する」 https://t.co/9zq65Xvb9u @itm_nlabentaから pic.twitter.com/5StnMiQ8Cx
— ねとらぼ (@itm_nlab) June 7, 2016
このあたりは、白人の受賞者が多すぎるアカデミー賞への反動から(?)、ミュージカル/舞台を対象にしたトニー賞がその逆をいったということにも現れています。極端なんだよアメリカ!!
LINK: 【聖林裏表】“黒人4冠”で株上げたトニー賞 視聴者も約873万人を記録 (1/2ページ) – 芸能 – ZAKZAK
この流れを考えると、下記のスタイル変更も理解がしやすいのではないかと考えています。善しあしは別として。アラジンは冒頭の曲「Arabian Nights」も公開前に変更(cut off your ear…)がありましたしねえ。
Aladdin and Jasmine debut New Outfits at Disney Parks https://t.co/dWNOOqHhBh
— Inside the Magic (@InsideTheMagic) September 11, 2016
この辺のポリコレへの極端な傾倒はアメリカっぽいなあと思いつつも、これに対する反動がこれまた極端(=ドナルド・トランプ的)。ただ、この辺のことを知っておかないと、Twitterで何も考えずに「これおかしいよ!」とといった発言が海外で注目されて、日本の特定カテゴリのファン全体が奇異な目で見られることもあるわけです。日本ではポリティカル・コレクトネスに関して教えてくれる人もいなければ、なかなかこの感覚をつかむことも難しいので、思わぬ失言がでる可能性があることは映画「ズートピア」で学んだはずですよね。きっと(ズートピア自体は、誰もが偏見を持っているという前提でその偏見と正しく付き合おう、という内容ですけれど)。
人は知識が少ない状態ほど文句を言ったり断定的なことを言ってしまったりするものなので、こと人種や性別などの件で、Twitterなど世界に発信するツールで変なことを言わないようにしないといけないと思いました。アメリカがポリコレに対して超極端になってるいまは特に。