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2015年4月28日、オリエンタルランドが今後10年の中、長期計画「2016中期経営計画」および「2023ありたい姿」で展開される、東京ディズニーランドおよび東京ディズニーシーの拡張計画の一部を発表しました。

これらについて、アートから分かりそうなこととそれ以外のことをメモします。
「美女と野獣」をテーマにしたエリア(東京ディズニーランド)
まずはオリエンタルランドが公開したアートを。
このアートには野獣の城に続く橋が描かれており、その奥にはミニチュアではない城があります。この構成はマジック・キングダムにある「Be Our Guest Restaurant」に似たもので、まだ発表はないもののやはりこのレストランが日本にも上陸する、と考えていいと思っています。これはつまり「東京ディズニーランドにおいてアルコール飲料が解禁される」ことにもつながり、大きな話題を呼ぶものと思われます。
Multi-year expansion announced for Tokyo Disney Resort: http://t.co/iPyQjosAT1 pic.twitter.com/QCPflLgRND
— Walt Disney Company (@WaltDisneyCo) October 30, 2014
さらに、このアートで描かれているのはファンタジーランド拡張部分のかなり奥で、ごく一部しか表していません。マジック・キングダムの野獣の城はレストラン以外にもクイックサービスレストランの「Gaston’s Tavern」、およびグリーティングアトラクション「Enchanted Tales with Belle」が併設されており、当初のアートを見ると城の周りに村が形成されているので、おそらくここまではセットなのではないかと思います。逆に言うと、このエリアで大型アトラクションはないのではと予想しています。
「ふしぎの国のアリス」をテーマにしたエリア(東京ディズニーランド)
こちらもまずはオリエンタルランドが公開したアートから。
正面に見えるのは、現存している「クイーン・オブ・ハートのバンケットホール」そのものだとすると、現在イッツ・ア・スモールワールドがある位置にホワイトラビットが顔を出す家があり、そこに行列が続いていることを考えると、これはおそらくグリーティング施設なのではないかと思われます。ここからは完全に想像ですが、「ここが屋内施設の入り口」だったとするとわざわざ行列を描くのかなあ、という気がしなくはないので、正直、このエリアについては情報が全くないというのが本音。仮にグリーティング施設としましたが、それは「低コストでキャパシティを増やすことができる、日本のゲストにあったもの」という理由だけです。
というのも、後述する2014年10月の日経記事に、下記のような記載がありました。
「イッツ・ア・スモールワールド」を移転した跡地にアナ雪を設ける案が有力だが、東京ディズニーシーの可能性もある。
これはつまり、このエリアが最後の最後まで揺れていたということになります。アナ雪アトラクション(?)が入らなくなったことが確定した今、イッツ・ア・スモールワールド跡地はかなり自由度の高い土地になります。
イッツ・ア・スモールワールドが移設される前提だとすると、この一体はかなりの広さを持っています。となるとこれも想像ですが、老巧化、陳腐化したショーベース代替施設ということもあり得ます(そうなるともはやアリスエリアとは別なのかも、という可能性も)。
なお、Disney and Moreの読みによると、上海ディズニーランドのキャッスル横にもアリステーマのエリアが存在するようで、おそらくこのコピーが東京にも作られるとしています。となると2016年オープンの上海ディズニーランドの様子が一番のヒントになるはずです。
Two new artworks have been released with the Tokyo Disneyland New Fantasyland press release and this first one shows the…
Posted by Disney and more on 2015年4月28日
位置関係についてはさくまさんのマッピングが大変参考になります。
ファンタジーランド妄想配置図を更新した。バックステージをプレスリリースを参考に拡大。白い建物がイッツ・ア・スモールワールドだとすると面積が倍くらいになってしまうのでここには大型の何かがもう一つありそう。 https://t.co/K7aF7QSB3v
— Iwamaru Sakuma (@iwmr) April 28, 2015
「アナと雪の女王」「北欧」をテーマにしたエリア(東京ディズニーシー)
こちらもまずアートを。
これは思い切ったなー、というのが感想。まずはさくまさんの妄想マッピングを。これが正解だと私も思っています。
コンセプトアートを配置した第8テーマポートの妄想地図も作ってみた。緻密に詰め込めばグリーティングトレイルは残せるのかもと思った。大型施設×3~4くらいのキャパシティがある。 https://t.co/S94EVZS7Dg
— Iwamaru Sakuma (@iwmr) April 29, 2015
橋は新設するのは既定路線でしょう。そして橋の手前にあるものは、おそらくEpcotのノルウェー館にある建物と同様、ノルウェーテーマのもの、その橋を渡るとアレンデール、ということなのかと思います。
敷地を見ると意外と広く、このエリアに何を持ってくるのかで今後のオリエンタルランド/ウォルト・ディズニー社の思惑が見えてきそう。余裕で大型アトラクションを作れるわけで、今ある技術を基にテーマをがらりと変えたもの、たとえばベースは「Ratatouille: The Adventure」でテーマをアナ雪に変えるとか、「Mystic Manor」の技術でアナ雪に変えるとか。そんなことが可能なはずです。おそらく、Epcotで現在建設中のアトラクションも同様のもので、まあおそらくそれを持ってくると言うのが順当な線。この方向性ならば、ディズニーが今後アナと雪の女王を他の映画「美女と野獣」レベルに育てていこうと言う意志がみえることになります。
保守的な案としては、アレンデールエリアは当然「グリーティング施設」を作るのは当たり前として、大きく開けるエリアで汎用的なシアターを作る、ということも考えられます。そうすれば日本のゲストに受けるショーを続けることができ、万が一コンテンツが飽きられる、もとい増えたとしても柔軟に対応が可能です。この点においては、2014年夏にウォルト・ディズニー・ワールド、ディズニー・ハリウッドスタジオで行われたショー「For the First Time in Forever: A Frozen Sing-Along Celebration」が、ほぼそのままアナハイムのディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーにコピーされ、さらに香港ディズニーランドでも2015年夏に開催されることから、もしかしたら東京ディズニーシーでも…と思った次第です。
とはいえ、隣接するエリアに「ハンガーステージ」があるので、そこがポイントになるかもしれません(というかハンガーステージがテーマ変わって北欧エリアに入るんじゃないか…と個人的には思ってます。新ショーのテーマ次第)。逆に言えば、世界では使い回しているショーを、「東京ではそういうことをさせない」とするのかどうかで、オリエンタルランドの心意気が見えるのでは、と思うわけです。
ここまで見るとお分かりかと思いますが、エリア自体は真新しいものの、美女と野獣エリアは(おそらく)マジック・キングダムの新ファンタジーランドのコピー、ふしぎの国のアリスエリアは(おそらく)上海ディズニーランドのコピー、アナと雪の女王エリアは(おそらく)Epcotのコピーである、と思われます。
余談ですが、2ちゃんねるに書かれてた「移設される新イッツ・ア・スモールワールドと、ニューヨーク世界博のペプシ館として作られたイッツ・ア・スモールワールドの見た目が似ている」という指摘は鋭いと思いました。湾曲の仕方が逆ですが、その視点はなかった。
オープンの時期は?
今回、3つとも時期は「2017年度以降」という表現にとどまっています。逆に言うと、「2017年度まではどれも完成しない」ととらえるべきで、順次2017年度にどれかがお目見えする、ということになるのかと思います。
この中でいますぐにでも進ちょくできるのは、やはり東京ディズニーシーのアナ雪エリアでしょう。空き地に作るだけなので、運営にも大きな影響を与えず工事ができます。まず手をつけるとしたらここかと思います。
そして難しいのはやはり東京ディズニーランド。キャパシティを下げずにという意味ではパズルのように組み立てないといけないのですが、このエリア分けを考えると順序としてはこんなかんじかなあと。
- グランドサーキット・レースウェイのクローズ(夏休みにキャスト体験がないことから、2015年夏?)
- 美女と野獣エリアの建設開始
- イッツ・ア・スモールワールドクローズ(クリスマスの内装変更がないことから2015年冬~2016年初頭?)
- いろいろあって
- 美女と野獣エリアオープン
- いろいろあって
- ふしぎの国のアリスエリアオープン
どうなのかなー、と思うのは、2015年夏から仮にエリア拡張がスタートするとして、アナ雪のエリアと同時に施行開始できるのかということ。ここからは日本の建設業の現況をよく知る人しか分からないんですが、パークのような特殊な建設がポンポンできる業者の余裕があるのかなー、という点。ここは詳しい人に任せます。なので、オープンタイミングはアナ雪が旬ということもあり最初に、そしてそれと同時、もしくは遅れて美女と野獣エリア、さらにその後遅れてふしぎの国のアリスエリアになるのかなと思います。
もし上記で書いたように、ふしぎの国のアリスエリアがグリーティング施設のみというような、軽微な変更にとどまる(イッツ・ア・スモールワールド跡地はまた別途なにかが作られる)としたら、全部同時にオープンという線もなきにしもあらずです。イッツ・ア・スモールワールド跡地がまた別、というスジで考えると、2014年5月にあがった謎のバルーンが、時期としては相当遅いタイミングであることも理解できます。高さを確認してからアートを書くってことですからね(多分)。

「噂」の出どころの確かさをまとめる
今回痛感したのは、やはり日経新聞の強さです。まずは2014年10月、計画発表当時の記事を。
日経記事ではこのアナ雪コンテンツを東京ディズニーランド側に作る、としていた記事もあったのですが、その辺は誤差レベル。なんだかんだいっても「新聞社」の取材力(といわゆる日経ファースト的な付き合い)はすごいです。今後日経記事に出てくるリークは、ある程度の信用ができると言って差し支えないでしょう(よく記事内容やプレスリリースの文言から「トバシ」と表現する方がいますが、IR表現を考えればこれまで日経が飛ばしたことはあんまりないことが分かるでしょう)。
海外ブログに目を向けます。全体として方向をきっちり当てていたのは、(確か)パリを中心に活動する「Disney and More」。現在はWebサイトの更新を終了し、facebookページにて活動をしている方です。この方の情報源がどうも、東京ディズニーリゾート、およびオリエンタルランドに一番近い気がします。例えばこの記事。

逆に、意外にもMiceChatが東京ディズニーリゾート関連の噂に弱いことも分かります。


なんとなくですが、micechatはアナハイム側、通称「TDA」(Team Disney Anaheim)側には強いが、むしろ東京ディズニーリゾートを率いているのは「TDO」(Team Disney Orlando)側なのかなあと思いました。確かにTDOは最近では東京版の新スター・ツアーズを手掛けていますので、Disney and MoreはTDOに近いスジの情報源を持ってるのかな、と思いました。ほんとにパリ在住なのかなこの人…。
余談:右下に隠されたもの
本家D23の東京ディズニーリゾート拡張記事に高解像度のアートが掲載されて、かつそれの画角がOLCリリースと違ってたら面白いねーなんてのを密かに期待している。右下あたりを特に。
— Takeshi Miyata (@mtakeshi) April 28, 2015
自分的にはここからが本論です。
Alice in Wonderland, Beauty & the Beast and #Frozen-themed lands coming to Tokyo Disney Resort http://t.co/l6uwj0llFO pic.twitter.com/4Ippf6v0oI
— Disney Parks (@DisneyParks) April 29, 2015
本家ディズニーの「Disney Post」および公式パークブログでも取りあげられました。注目はその「画角」です。オリエンタルランド提供のアートを見比べてみてください。
以前、こんな記事を書きました。

かいつまんで説明すると、当初2014年10月にオリエンタルランドから発表されたファンタジーランド再開発のアートの右下には「サイン」が書かれており、そこにはうっすらと「11」という文字が判別できたことから、そもそものファンタジーランド再開発は2011年からスタートしていたが、震災などの影響で延期になっていたのではないか?という仮説です。ところがその後、2014年12月に公開された株主通信で使われたアートでは年号が変わっており、あるルートで見たアートの高解像度版では、はっきりと「14」と記載されていたことが分かっています。
しかし、その背後では、2014年より東京ディズニーランドで行われている「ワンス・アポン・ア・タイム」のテーマ曲が、2012年のマジック・キングダムのセレモニーで使われているなどの事実もありました。
再度、Disney Postで公開されたアートに戻りましょう。オリエンタルランド提供のアートと比較すると右側、下側が「カット」されているのが分かります。そして、美女と野獣のアートについてはその部分にまさにサインがあり、そこには「2013」の数字がはっきりと描かれているのが分かります。
となるとやはり、当初のアートの年代は2014であるはずがないということが分かります。2013年には全体アートだけでなく、個別エリアのアートが存在するということから、2013年10月に開催された「D23 Expo Japan 2013」のタイミングで太鼓のパフォーマンスじゃないものが見られたのかもなー、とか思ったりしますよね。
かつ、オリエンタルランドがその部分をあえて隠すような形で公開したことも、大きな情報になったなあ、と思った次第です。現場からは以上です。