「Big Hero 6」と「ベイマックス」に見るディズニー映画の作り方(ネタばれあり)

12月20日に公開を控えたディズニー長編アニメ「ベイマックス」、ネタばれを含むレビューを残しておきます。NHKで先日放送された「魔法の映画はこうして生まれる~ジョン・ラセターとディズニー・アニメーション」の内容も入れながら。

ネタばれですので、映画をご覧になった方を対象に書きます。

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まもなく日本でも待望の「ベイマックス」公開となります。2014年10月の東京国際映画祭でアジア初の公開が行われ、私もそのタイミングで見ることができました。ネタばれのない感想はこちら。

まず、見た直後の率直な感想はこれ。この感想は今でも変わってません。

dpost.jp / ディーポスト・ジェイピー on Twitter
“「ベイマックス」を見た。控えめに言って、最高傑作です。最高のディズニー映画であり、最高のマーベル映画。アガる!!!”

舞浜狂のさくまさんもプレミアに参加していて一緒に見ていたのですが、見終わったあと「いやーいまはこう、日本初上映に立ち会ってアガってますけど、実際落ち着いたときにどうなんですかね」なんて話を交わしていました。そういう意味ではあんまり変わっていないながら、よくよく考えるとやっぱりこの作品にも、いくつかシナリオの穴みたいなものがないことはないです。具体的には、

  • あんまりYOKAIの正体はストーリーに大きく絡んでなかった
  • というか、突然出てきた博士の娘の存在が唐突すぎて感情移入できない
  • 娘を助けて一件落着、という落としどころがあんまりスッと入ってこない
  • ストーリーの根幹ではあるものの、空間移転装置の登場の仕方が雑

のあたり。個人の感覚ですので皆さんどう思うか微妙ですが、そもそもこれらの点、最後に博士の娘が助かるのではなく、やはり「兄、タダシがベイマックスとヒロによって救われる」のであれば、すべてが丸く収まったのではないか、と思ったわけです。とはいえ、ヒロの成長物語である本作において、成長した理由、つまり「タダシの喪失」がキーになるわけで、タダシが帰ってくるという終わり方もそれはそれで穴になり得ます。

コミックス版「ベイマックス」の存在

そんなとき、やっと講談社のコミックス版「ベイマックス」の存在に気が付きました。それが下記の記事です。これは、単なるプロモーションの一環を超えた、想像以上に重要なピースです。

この時はネタばれ回避のためあんまり詳しく書かなかったのですが、実はこのコミックス版ベイマックスは物語の前提が違います。大きな違いは、第2話の段階ですでに空間移転装置が登場しており、この製作に兄タダシが関係していることが描かれています。さらに、タダシがこの空間移転装置に吸い込まれてしまい、行方不明になるというストーリーなのです。コミックス版はいま現在もタダシが死んだという表現が一切無く、姿を消したという状況です。これはもしかしたら、映画版とは異なるエンディングが、タダシに用意されている可能性すらあるでしょう(しかも、キャスが叔母ではなく母親である設定から、映画版では意識することのなかったある存在も浮かび上がってきます)。

コミックス版ベイマックスは2014年8月には第0話が公開されており、どこよりも早い「ベイマックス」が、ディズニー自体の監修のもと、ここ日本でのみ読めていました。おそらく、構想自体はその2カ月くらい前から進んでいたのでしょう。今さらなんなんですが、これは実はすごいことでした(3カ月も放置してしまい超反省している)。最新話(11月20日発売分のマガジンSPECIAL)においては劇中ですらほとんど触れられていなかったチーム名について、フレッドが「BIG HERO 6なんてのはどうかな?」とうるうるしながらしゃべってるのを見て、これはすごい!と思いました。

Big Hero 6はおそらく、ストーリー作りにかなり苦労した作品

話を戻すと、これらのピースを組み合わせるとBig Hero 6(映画の方)はかなり苦労してストーリーが作られていると考えています。ちょうどNHKにて放映された「魔法の映画はこうして生まれる~ジョン・ラセターとディズニー・アニメーション」においてもその様子が明らかになり、やっぱりなー、と思った次第(あと意外にラセターさんすごく仕事してるんだなあと言うのが感想)。

かなり先行してスタートしたコミックス版のストーリーを見るに、おそらく最初は兄タダシは死ぬのではなく、行方不明となっているシナリオだったのではないかと想像します。ところが、これではエンディングでタダシが戻ってくることになり、それまでの成長がないがしろになってしまう。そこで、ストーリーの入り口をかなり変えたのではないか、と想像できます(これは多分、書籍などの資料を追わないと分かりませんが……)。

これも舞浜狂さくまさんが触れていたのですが「完ぺきなシナリオよりも、ちょっと破たんしてたとしてもアガる内容がいいんでは」という意見に私も大賛成で、上記ちょっと挙げた穴が全く気にならないほど、この作品には興奮しました。映画とはそれが一番楽しいことなんだ、というのは同じくディズニー/マーベルの「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」が教えてくれていましたし(関連記事:【ネタばれなし】アベンジャーズ2への救済措置を兼ねた「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」が熱かった)。

そうなると、もう一つのベイマックス、もしかしたらあるべき姿だったストーリーが、講談社コミックス版「ベイマックス」で楽しめるということになります。これは日本だけのもので、文字通り、製作者陣から日本へのプレゼントになるはずです。

映画をご覧になって、ちょっとでもアガったり、ちょっとでも疑問に思ったら、こちらのほうの「ベイマックス」もぜひチェックしてほしいと思います。同じ「ベイマックス」がもう一回、単なるコミカライズではない、バースの異なるベイマックスとして楽しめるうれしさは、これまでのディズニー作品では無かったのではないかなー、と思います。ということで、第1巻を読みたいと思います(12月17日発売)。

ベイマックス(1) (講談社コミックス)
上野 春生
講談社 (2014-12-17)

あとネタばれOKだからやっと張れる。大爆笑だよ!!!

Stan Lee Cameo Featurette – Big Hero 6

ちなみに、スタッフロール後のおまけのスタン・リーのシーンは「スパイダーマン2」において、ハリー・オズボーンが父親ノーマン・オズボーンこそ、ヴィランズのグリーンゴブリンであることを知る(そしてハリーはホブゴブリンになる)シーンのパロディです。

マーベル映画を語る上で絶対に外せない、スタン・リー御大の過去の主演作についてはこちらの映像などを。

YouTube
Scotty Dickert Dr Pepper Avengers Commercial

追記:

感想書いて良かったなー、とおもいました。なるほど確かに。

https://twitter.com/noji_c/status/545112242744614912