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【2014年旅行記】リゾートの「鍵」となるウェアラブルデバイス「MagicBand」とは

フロリダ ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート海外パーク(〜2020年5月)

ウォルト・ディズニー・ワールドに登場した新たなシステムの紹介です。前回のFastPass+に引き続き、今回は「MagicBand」(マジックバンド)を取りあげます。これまでのカードキーや入園チケットを単にバンドへ置き換えただけではない、さまざまな可能性を秘めた仕組みがあります。

リゾート宿泊の場合、MagicBandはこのような化粧箱に入っている。年間パスポートユーザーは箱が異なる

リゾート宿泊の場合、MagicBandはこのような化粧箱に入っている。年間パスポートユーザーは箱が異なる

2014年6月に、はじめて自分の「MagicBand」を手に入れることができました。MagicBandはウォルト・ディズニー・ワールドにおいてさまざまな場所、もの、情報へのアクセスに必要な「鍵」で、RFIDを使った実にディズニーらしいデバイスです。

MagicBandとは何か?

MagicBandとは、ウォルト・ディズニー・ワールド内直営ホテルにおいてはルームキー、およびルームチャージのためのカード(クレジットカード)として働くだけでなく、購入した入園チケットとして、また前述のFastPass+を利用するための識別子として使われる、腕に巻くタイプのデバイスです。

直営ホテル宿泊者は無料(宿泊代に含まれる)、それ以外のホテルに宿泊する人でも、パーク近辺で1つ12.95ドルで購入が可能です。全7色(赤、青、緑、ピンク、黄色、オレンジ、グレー)あり、防水仕様なのでウォーターパークにもそのまま入れます。サイズは1種類で、周りの黒い部分を切り取ることで子供用サイズにもできます。

MagicBand単品でも購入可能

MagicBand単品でも購入可能

ちょっと細かな説明をすると、このバンドにはあくまで「識別番号」しか入っておらず、例えば名前や誕生日などの個人情報、クレジットカード番号などの決済情報、部屋番号、入園チケットの番号が記録されているわけではありません。これらの情報は全て「My Disney Experience」というWebサービスが持っており、そこで使われるDisneyアカウントと、バンドの識別番号がひもづいてはじめて意味を持ちます。そのため、MagicBandを購入しただけでは利用ができず、My Disney Experienceのアカウントを用意する必要があります。

My Disney Experience Walt Disney World Resort Welcome to My Disney Experience

My Disney Experience Walt Disney World Resort Welcome to My Disney Experience

いま管理しているMagicBandと、年間パスポートが下に表示されている(inactiveになっているのは2013年旅行時のチケット)

いま管理しているMagicBand

上記の管理画面を見ると、自分のMy Disney Experienceのアカウント(米ディズニー共通のDisneyアカウント)に、MagicBandとチケットがひもづいているのが分かります。2枚見えるチケットは現在有効な年間パスポートと、2013年旅行時のプレミアパスポート(期限切れなのでInactiveにしている)。さらに、上部には今回購入した年間パスポートに1つ付いてくる無料のMagicBandの権利があります(後述)。

もしMagicBandを落とした、なくした場合でも、ここからバンドのリンクを削除することで、個人情報と切り離すことができます。逆に、複数のMagicBandを1つのDisneyアカウントにリンクすることも可能です。

MagicBand写真

IDはこのミッキーマークのあたりに入っている。

IDはこのミッキーマークのあたりに入っている。

事前登録していれば、裏面にも名前が刻印される。モザイク部分にはBand ID。

事前登録していれば、裏面にも名前が刻印される。モザイク部分にはBand ID。

バンド部分には6カ国語で説明も。日本語もありました。

バンド部分には6カ国語で説明も。日本語もありました。

MagicBandには関連商品もいっぱい。

MagicBandには関連商品もいっぱい。

ダッフィーのMagicBandits。

ダッフィーのMagicBandits。

Banditsを付けるとこんな感じ。バケーションクラブメンバーや年間パスポート保持者はこのようなタグをもらえる。

Banditsを付けるとこんな感じ。バケーションクラブメンバーや年間パスポート保持者はこのようなタグをもらえる。

MagicBandの技術的仕様

技術に詳しい人向けの説明となりますが、このバンドにはRFID(radio frequency identifier)が埋め込まれており、近距離での無線通信が行えます(以前、トム・スタッグス氏はRFIDだけでなく、Bluetooth通信も使っているというようなコメントをしていましたが、現時点でBluetoothを利用しているかどうかは不明でした)。

MagicBandはごく短い距離の通信だけでなく、数メートル離れた場所からもIDの読み取りが可能となっており、入園ゲート、支払い、FastPass+の利用時は短い距離の通信を利用し、駐車場への入場、ホテルの駐車ゲート、写真撮影の一部では中距離の読み取りを行っています。これは、よくイメージなどで使われているような、ミッキーマークに向けMagicBandをかざさなくても、ID情報が読み取れることを意味します

このため、実はMagicBandを付けていることで、ウォルト・ディズニー・ワールド側に自分の位置情報、行動をかなりの精度で「読み取られる」可能性があります。さらに、それがゲストに対して明示的には読み取りしたことを伝えるすべがなく、利用者にとってはなにが取得されているか分からない、というプライバシー上の問題が発生します。

これについてウォルト・ディズニー・ワールドはMagicBandの販売所、およびホテルでのガイドに注意書きを用意しており、もし長距離での読み取りを拒否したい場合、これまで通りのカード型IDを利用することも可能であることを提示しています。カード型IDは近距離での通信にのみ対応したものとなり、ルームキー、FastPass+、入園チケットなどでの利用が可能です。

MagicBand注意書き

MagicBand注意書き

MagicBandの使い方

前置きが超長くなりました。MagicBandの使い方です。

アカウントの紐付けですが、自分で直営ホテルを予約した場合にはすでにDisneyアカウントでの予約のはずなので、チェックイン時にもらえるMagicBandと自分のアカウントはリンクされた状態で渡されます。家族、同行者も予約時にDisneyアカウントを用意し、決められた日数までに登録しておけばバンドの刻印も間に合うはずです。

予約時にすでにメンバーのアカウントにて、クレジットカードの登録、およびMagicBandのPIN番号(支払時に利用)も登録するはずですので、オンラインチェックインに必要な情報さえあればOKです。この際、入園チケットも同時に購入していれば、60日前からFastPass+の取得も可能です。

現地でMagicBandを受け取ったら、これがホテルのルームキー代わりにもなっています。入室時に使うのがまず最初になるかもしれません。さらに、入園ゲートも全てがMagicBand対応となっているので、リゾート内にいる限り、バンドがあれば不自由しないでしょう。

ゲートはいまこんなかんじ。MagicBandではなくカードでの写真ですが。

ゲートはいまこんなかんじ。MagicBandではなくカードでの写真ですが。

リゾート内での支払いはこのような端末にかざしたあと、自分が設定したPINコードを入力することでルームチャージできる。

リゾート内での支払いはこのような端末にかざしたあと、自分が設定したPINコードを入力することでルームチャージできる。

MagicBandの面白い利用方法としては、PhotoPass/Disney Memory Makerでの事例があります。これまで通りパーク内にはフォトパスカメラマンが大量におりまして、いままでのようにPhotoPassカードによる運用も行われていますが、MagicBandでも同じことが可能です。撮影してもらったあと、バンドをかざすと写真がMy Disney ExperienceのWebから閲覧可能です。

さらに、有料のDisney Memory Maker(これまでのPhotoPass+に相当)の権利を購入することで、一部アトラクションのオンライド写真が「自動的に」My Disney Experience側に反映されます。これは上記、中距離での通信を使ったID読み取りを利用しているようで、もはやライドを降りたあと写真を指定することなく、自分の記録がたまっていくというもの。MagicBandならではの応用例です。

さらに、今後の活用例としては、My Disney Experienceにある個人情報をアトラクションやグリーティング内で活用することが挙げられます。2014年6月時点ではまだ運用フェーズではありませんが、これまでのテストを見ると、アトラクション内で名前を読み上げる、グリーティングで記念日をもとにした会話ができるなど、とても可能性を感じられる内容です。面白い事例としては、ゲーム「Disney Infinity」とも連動していたということも。

これらの可能性を、1分ちょいの動画でまとめたのがこれ。

なお、年間パスポート(プレミアパスポートを含む)の利用者には、1つ無料のMagicBandが付いてきます。が、この無料のバンドは郵送でのみ対応で、パスポート購入と同時にはもらうことができません。

Webから申し込みを行い、10日後に郵送というものなので、日本からウォルト・ディズニー・ワールドの年間パスポートを購入した場合は次回以降の受取になります。郵送先をホテルに指定することは可能ですので、既にプレミアパスポートを保持している場合は、次のウォルト・ディズニー・ワールド滞在前に手配することをお忘れなく(直営ホテル滞在の場合は2つMagicBandがもらえる)。年間パスポートのMagicBandは特別な箱に入っているだけでなく、特別なタグも入っています。

年間パスポート利用者向けMagicBandにはカードも。

年間パスポート利用者向けMagicBandにはカードも。

このカードが年間パスポート保持の証しになり、割引や駐車場利用で使えるようです。

このカードが年間パスポート保持の証しになり、割引や駐車場利用で使えるようです。

年間パスポートのタグ

年間パスポートのタグ


まとめると、MagicBandはパーク内のゲストの体験をより魅力的なものにするため、ディズニー側がゲストに負担をかけないようにひっそりといろんなことを仕込める、魔法の種のようなもの。今回の滞在でもほとんど意識せずにバンドを巻いて行動しまして、ウェアラブルの強みをすごく感じました。

ディズニーはこのバンドで、キャストやキャラクターがまるで予知能力や遠隔透視能力、読心術を持っているかのような振る舞いができるようになります。ディズニーは技術で魔法を実現することを目指してるんだなあ、と思えるデバイス。

プライバシー上の問題は確かに残りますが、パーク内という閉じた環境であれば有効に利用ができそうだと思いました。これがグリーティング、特に会話ができるキャラクターグリーティングと結びついたときに最大の効果が出てくると思います。

FastPass+の運用はまだ未解決の問題が山積みですが、MagicBandについてはディズニー技術系マニアにとってはびっくりすることばかり。未来はすぐそこにありますよ。

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