この発言はすごかったよねw
2013年10月12日から開催中の「D23 Expo Japan」、トム・スタッグス氏によるプレゼン「ディズニーパークの魔法」では驚くべきことに複数のイマジニア(ディズニー内のエンジニアの総称)が登場しましたが、その中でも日本語でプレゼンを行ってくれた、VP of Creative at Walt Disney Imagineering Research & Developmentのスコット・トローブリッジ氏(Scott Trowbridge)が、自身の作「Destini」を紹介しました。
このDestini、簡単に言うと占いを行うオーディオアニマトロニクスなのですが、とにかくよくしゃべるのです。そしてトローブリッジ氏は最後に「彼、初音ミクちゃんに会いたいっていってます(笑)この会場にいないですか?」と日本語で話し、会場は笑いに包まれました。
これが初音ミク&ボーカロイド界では大変著名な「初音ミクみく」に拾われてるとは驚きです。そこでこの記事では、Twitterだけでは分からない「Destini」のすごさを紹介します。
Destiniって?
Destiniとは、おそらくD23 Expo 2011で一般に初披露された、ディズニーの技術を詰め込んだ恐ろしいミニアトラクションです。トローブリッジ氏は「多くのオーディオアニマトロニクスがディズニーのパークに存在するが、ほとんどのオーディオアニマトロニクスはゲストに気にかけてはくれない。しかしこれはその状況を変える」とコメントしています。
Destiniが展示されてる。 Photo by mtakeshidpostjp
このDestini、本体はワイヤーフレームむきだしの小さなものなのですが、実は会場全体がカメラで撮影されており、Destiniに対峙したゲストだけでなく、後方で見ている人を含めた全員の顔、表情、視線の方向、声、位置、身長、動きなどをスキャンし、それらを総合して会話するという、とんでもなく高度な技術を使っています。下記動画の1分45秒くらいから、Destiniが判断している顔や身長などのセンシング結果が一覧された画面が表示されているのがわかるかと思います。これらの情報を基に、適切な会話を選択しているとのこと。
ここまで理解できると、イマジニアのトローブリッジ氏がボーカロイドの初音ミクという言葉を発した理由も分かるかと思います。似たようなことを行っているアトラクションとしては、ピクサー作品であるファインディング・ニモに登場するウミガメとの会話を楽しむ「タートル・トーク」というものがあります。が、これは背後に演者がおり、その声をクラッシュ風に変換することで、人と人とが会話をするものになっています(D23 Expo 2013では同種のEl Fortunoが展示されていましたが、これはタートル・トーク方式っぽいです)。
Destiniも初音ミクも、人による会話と歌声の再現という意味では同じ方向を向いていると思います。なのでこの「(Destiniは)初音ミクに会いたいといっています」という発言は、なかなか深いものがあるな、と感じた次第です。
昨日お話ししてくれたイマジニアのスコット・トローブリッジさんは「人と機械の垣根をなくす」というテーマで一杯発明してて触るだけで反応するライドや自分でお話できる占いロボなどあり、初音ミクに自分の作品が会いたがってるというウィットには同じように愛してほしいという気持ちがこめられてた。
— GertieTime (@GertieTime) October 13, 2013