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劇団四季「リトルマーメイド」を見たぜ!

劇団四季「リトルマーメイド」を見てきました。感想を書きます。ネタバレは含んでしまうかも。

劇団四季「リトルマーメイド」にきました。
劇団四季「リトルマーメイド」にきました。 Photo by mtakeshidpostjp

リトル・マーメイドと人魚姫

そもそもこのリトルマーメイド、もとは「人魚姫」で、ラストはご存知のとおり悲劇的な終わり方をします。当時のディズニーではハッピーエンド以外は描けないので映画版リトル・マーメイドはあのようなお話に仕上げてるわけですが、そのためかエンディングにいたるまでのストーリーラインはいまから考えるとむちゃくちゃです。だいたいにおいて登場人物が巨大化してなんとかするのは破綻シナリオの代表的な落とし所じゃないですかパイレーツオブカリビアン3とか。しかも悪役が「真実の愛などない!」なんて死亡フラグを立てて。

なので個人的には、リトルマーメイドはストーリー自体を楽しむものではないと思ってます。ラスト周り、アトラクション版ではごっそりカットされてるのはそのせいだと考えてます。巨大化ダメ絶対。

じゃあなにが素晴らしいのか。やはりリトル・マーメイドにおいてはハワード・アシュマンとアラン・メンケンによる音楽と、それに合わせて丁寧に描かれたシーンの積み重ねでしょう。パート・オブ・ユア・ワールドにおけるアリエルの願いの強さ(それを表す表情と振り上げた指先)、アンダー・ザ・シーでの海の華やかさ、そしてキス・ザ・ガールで縮まる二人の距離。ミュージカルが再びディズニー映画に帰ってきた作品です。

そしてその公開から24年。劇団四季のミュージカルとして、リトルマーメイドが帰ってきました。新たに新曲も多数登場。そしてとうとう開幕したこの作品。一言でいうと素晴らしいです。
(あ、超余談ですがリトルマーメイドは劇団四季版を、リトル・マーメイドは映画版を指します)

特殊な環境下でもすばらしい四季の演者たち

この作品は海の中のストーリーが半分以上を占めており、人魚を演じるにあたってフライングという形で表現します。このため、舞台内を上下にも動くという表現力が加わっていますが、それは演者ではなく、舞台装置側が担っています。この組み合わせがちょっとでもずれると演技が壊れてしまうはずですが、さすが劇団四季、この点はまったく違和感なく演じています。舞台装置の操作も1人の「演者」なのかもしれないです。

そしてその構造は、フライングだけにとどまりません。特に感動したのが海の魔女、アースラの構成。アースラはライオンキングではラフィキを演じていた青山弥生さん(私にとってはマンマ・ミーアのロージー)でしたが、アースラの足を演じる方たちがこれがまたすばらしい。黒子的な立ち位置ながら、アースラの恐ろしさを表現していて、アースラ役としてクレジットされてもおかしくない動作。歩き方とかすごく研究されてたなあ。その他、この映画にいくつかある「絶対に壊してはいけないシーン」の再現度はかなりのもの。パート・オブ・ユア・ワールドなんかはたまらないです。

舞台装置はかなり豪華でした。特に2幕、陸上側の絵作りはあっと驚く内容。これは本当にすばらしかった!そしてリトルマーメイドを見て確信しましたが、わたしの中での2つの分類(美女と野獣やオペラ座の怪人のような)「豪華な舞台装置」/(ライオンキングやマンマ・ミーア!のような)「シンプルな舞台装置」という分け方は間違っていて、ライオンキングとそれ以外なのだなあ、と思いました。舞台版ライオンキング演出のジュリー・テイモアは本当に鬼才。派手な舞台装置が嫌いなわけじゃないんですが、お金をかければそりゃいいものが作れて当たり前だよね、と思ってるので(ライオンキングが質素というわけではないけれど)。

劇団四季の力とディズニーのコンテンツ力がいいかんじにミックスされてたなあ、というのが感想です。

アリエルは谷原志音さん。アースラは青山弥生さんなのか!
アリエルは谷原志音さん。アースラは青山弥生さんなのか! Photo by mtakeshidpostjp

劇団四季リトルマーメイド、グッズの一部。
劇団四季リトルマーメイド、グッズの一部。 Photo by mtakeshidpostjp

音楽の力

そして音楽。今回、新たに数曲追加されていて、登場人物の心境などがかなり深掘りされています。特にエリック王子。リトル・マーメイドにおいてはアラン・メンケンが携わったスコアがテレビやパークなど多くのシーンで利用されています。特に東京ディズニーシー、マーメイド・ラグーンで流れることが多いので、Fathoms Below(深海の秘密)やJig(舞台版における一歩ずつ:One Step Closer)は曲の名前を知らなくても、聞くと分かる方も多いはず。それらのスコアに今回、丁寧に歌詞が載せられています。

特に、「一歩ずつ」は本当にすばらしかった!個人的にミュージカルの曲は「前後で心境の変化が表れる」ものほどすばらしいと思っているので、これはもうパーフェクト。本作品の最も心に残るシーンになりました。

さらに、2幕最初に当たる「マエムキニ」(原題はPositoovity)。これはすべったか…と思った矢先に、すごく意味のあるシーンになり大拍手。2幕導入部分としてはこれ以上ない役割でした。英語版は下記でちょこっと試聴可能。

なお、本作では映画版とは異なる訳詞が付けられています。直訳に近い映画版よりも、より本質に近い四季訳のほうがいいかなー、と思いました。けっこう大胆に改訳されてますので最初は驚くかもしれません。

そして、リトル・マーメイド自体の問題が浮き彫りに

全体的には大満足だったのですが、映画版にも存在した人魚姫→リトル・マーメイドへの変更における不自然なポイント、エンディングに持っていくまでのストーリーの破たんという意味では、この舞台版リトルマーメイドでも残念ながらくっきりと残ってしまっています。

本作、フランダーの役どころ、そしてアースラ/トリトンの関係、マックスの欠如などストーリーを大胆に変えてきているのですが、やはり「アースラをどうするか」という問題を完全に解決はできなかったと見えます。これは舞台版がよくないという話ではなく、そもそも人魚姫をハッピーエンドにするためのひずみであり、もう不可避なのだなと理解。ただまあこれも小さな問題であるとおもいます。

美女と野獣、ライオン・キング舞台版も日々公演を重ねることで、少しずつ演出を調整していっています(特に美女と野獣は「乾杯!」が変わって評価がかなり変わった)。なので、まだ始まって1カ月も経っていない本作はまだ評価するのは早いのかもしれません。全体としては大満足。特に「一歩ずつ」の構成はホントにいい!

すでにチケットも年内は7月までほぼ完売。いまから半年先の予定を立てるのは大変かもしれませんが、ぜひパーク以外のステージも見ておくといいと思いますよ。できれば、ディズニーファンは美女と野獣→ライオンキング→リトルマーメイドとみて、チャンスがあればぜひアイーダや非ディズニー作品の四季演目を見ていただきたいなあと思います。