「充分に発達した科学技術は…」
LINK:Disney Research – The Science Behind the Magic
日本のネット界における「ディズニー」、いままでにはない動きを見せています。
ここ最近、ディズニー関連(主に東京ディズニーリゾート)の記事が増えた気がしませんか?どうも記事タイトルにディズニーとついたものはよく読まれる(ページビューが上がる=収益があがる)ということに気づいたネットメディアが、Twitterで盛り上がるたびにわりと適当な記事を上げる傾向が見え隠れします。しかし、取り上げられるディズニー関連記事には意外なネタも転がっています。そのひとつはTouché。
LINK:ディズニーの開発したタッチセンサーの新技術「Touché」がまさにイノベーション | ihayato.news
これは海外メディアで書かれていたものを日本語でまとめたものなのですが、元になったのはディズニー・リサーチによる発表文献。どうやら海外メディア(WiredなどのTech系メディア)がこのディズニー・リサーチをウォッチ対象にして、新たな発表があった時にすぐに記事にできるようにしているっぽいのです(海外は海外でディズニーネタがページビューが稼げるということ)。
そしてそのディズニー・リサーチなどが創りだした技術をまとめた記事がWired.comにあがりました。ここからが本題。
LINK:Disney’s 3D-Printed Princesses, Interactive Cakes, and Other Maker Technology | Wired Design | Wired.com
この記事、まだ日本では紹介されていないですが、なかなかおもしろいネタを取り上げています。
Disney D-Tech 3D-Printed Princess Figurines
これは2012年5月のスターウォーズ・ウィークエンドのCarbon Freeze Meでも使われた技術の応用で、3Dスキャナで取り込んだお子さんの顔をはめ込んだプリンセスドールをオーダーメイドで作るというもの。
動画を見るとわかりますが、3Dプリンタで成形と同時に色までつけています。3Dプリンタに詳しい方にちょっと聞いたのですが、どうやらそんなことができるのは1機種しかないみたいで特定可能って言ってました(多分これについては別の場所で記事になりそう)。技術的にはすごいんですが、リアルなまま出力するんでちょっと不気味の谷が…。ちょっとアニメっぽく加工すればいい感じになりそうですね。
想定したとおりに膨らむ風船
これが一番すごいと思いました。例えばうさぎの形をした風船を作るとき、普通に考えた風船をふくらませるとお腹の部分が膨らみすぎてしまい、デブうさぎになるどころか原型をとどめません。そこで、膨らみ方を想定した形を計算することで、膨らませた時にある程度自然な形にするためにはどうすればいいかを考えたのがこの論文。研究時点でゲストの手に渡るところまで想像できる技術っていうのがすごくディズニー的。感動すらします。
一枚の板の影が複数のイメージを作るステンドグラス
SHADOWPIXと呼ぶこの手法は、3Dプリンタを使って作るステンドグラス2.0。光の角度により影が複数の絵になるというもの。ディズニーストアの内装に使われるのでは、としています。
‘Glow With the Show’
これはすでにディズニーランド・リゾートで実用化に至ったもの。光るミッキーイヤーハットでショーの一部になれます。
インタラクティブ・ケーキ
これまた実に、実にディズニーらしい技術。ケーキの上に備え付けられたプロジェクターを使い、ケーキに対してプロジェクションマッピングを行うという特許文書が公開されています。カットした部分もカメラで検知し、それにあわせて映像を投射するようです。これもまた、ディズニー・ウェディングで登場してもおかしくない技術ですね。
表情のクローニングとオーディオアニマトロニクス化
これはWiredではなくGizmodo経由。表情のコピーからオーディオアニマトロニクス化の、デザイン、シミュレート、制作というプロセスをかなり自動化したというもの。動画を見るとわかるように表情の動きを数値化し、レディメイドのオーディオアニマトロニクスでかなり再現できるようになっています(もちろん、顔は3Dスキャナで読み取ってマスク化)。次世代のオーディオアニマトロニクスはよりリアルになっていくとともに、低コストで作れるようになるのではないかと思います。
SF作家アーサー・C・クラークは言いました。「充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない」。その実現に一番近い位置にいるウォルト・ディズニー社はやっぱりウォッチしがいがある企業です。