くまのプーさんの“正統な”続編の話がよく見えないという話

「クマのプーさん」続編10月に英米で出版、80年ぶり 国際ニュース : AFPBB Newsとか「クマのプーさん」続編出版へ 80年ぶり10月英米で – 47NEWS(よんななニュース)の話なんですが、「英エグモント出版(Egmont Publishing)」により、「英脚本家のデービッド・ベネディクトゥス(David Benedictus)氏」作、「マーク・バージェス(Mark Burgess)氏」絵で続編が出版となる、ということなんですが、一体誰がこれを「正統な続編」と認定しているのかがさっぱりわからない。

おそらく記事内でコメントを取っている「プーさんの知的所有権を管理するTrustees of the Pooh Properties」がそう認定しているのであると思うんですが、そもそもの原作者であるA.A.ミルン(の家族)なりE.H.シェパード(の家族)のコメントがいっさいないですし、ディズニー社側からも何もコメントなしという状況なのでよくわからない、というのが感想。APの原文、New Pooh! Trustees of Winnie-the-Pooh authorize first sequel to beloved bear’s adventures — chicagotribune.comを見たんですが、こちらにはスレシンジャー家との法廷闘争の件には触れられているものの、今回のニュースとの関係は書かれていません。

古くからディズニー社をウォッチしているひとはご存知かと思いますが、そもそもディズニー自体はもとより、原作者家族にもプーの権利はなく、現在プーの著作権管理はスレシンジャー家の会社にあります(Stephen Slesinger, Inc.)。よく誤解されがちなのですが、プーに関する裁判はディズニーvs原作者ではなく、スレシンジャーvs(権利者&ディズニー)というもの。むしろディズニーはプーに関する権利を原作者に“戻す”という方向で協力をしています。

ここから先は単なる想像なのですが、おそらく今回の話は現在権利を保有するスレシンジャーサイドから出たものではないかと考えます(ミルン側から出てきたらディズニーも一緒に出てくるだろうから)。その前提で考えると、この続編の裏にはディズニー(とミルン家)に対する何らかの牽制があるんじゃないかなー、とも思いました。

結論:情報ください。

追記

うろ覚えでネタを書くと識者がツッコんでくれるのは本当に助かる。ということでGertie1さんから情報をいただきました。基本上記はまるっと間違えておりネガティブな方向で「計画通り」(夜神月のあの顔で)。Twitter発言を引用します。

@dpostjp さあ整理するよ。まず「正式」とは?これはミルン財団milne estateに続編の絵本を出すことを認めてもらったということらしい。CD作品を作る時も、ここに伺いをたててる。本来ミルンの著作権はベルヌ条約により失効しているけれど、原作者側のお墨付きってことだろう。

ミルンは一発屋だけどw記念碑的な推理小説も書いているから、プーだけじゃなくちゃんと財団があるんだ。いくつか各国の記事を読んでみると、どうやらミルンの書いたプーの歌の本があるんだけど、そういうものから想を得て、ちゃんとミルンの原作を踏まえた作品をつむいで見ようという試みだそうだ。

それからここはよく間違うんだけど、スティーブン・スレシンジャー社が持っているのは著作物にたいする著作者の著作権ではなくあくまで商品化権だよ。だからこの会社が正式とか正式じゃないとかいうことは、そもそもいえない。早い話グッズ商売できるかどうかって話だからね。

それから原作者のほうに著作権をかえす協力をディズニーがしているというのはかなり雑な表現。スティーブン・スレシンジャー社はちゃんと法的手続きを踏んだ会社で、商品化権のライセンスを作家の家族が正式に売却して対価を得ているし、むしろ商品化権使用料を不透明にしたのはディズニー。

裁判は三度。一度目ディズニー勝訴というのは、ディズニーが裁判に関係する書類を秘密裏に処分したのを小細工使ってスティーブン・スレシンジャー社が見つけてきた。アホなことやって肝心の裁判の論点がずれ、事実を立証できず流れただけ。二度目はミルンの娘。ミルンの著作権切れもせまってたし敗訴。

三度目は挿絵描いたE・H・シェパード孫。そう「原作」じゃなく「挿絵」に特化したわけだ。さてこれはちょっと微妙だった。なぜなら挿絵の方の著作権は切れてないからね。しかもシェパードのクラシックプーそのものをディズニーは自由に商品化したかったから必死。でも孫だしねえ。強引で敗訴。

そうそうそれからTrustees of the Pooh Propertiesだけど、マイケルブラウンという人が代表でインタビューに応えてるけど、Trusteesの中の人はミルンやシェパードの家族や作品にかかわった人たちで構成されてるみたいだね。

ということでまとめると、プーさん続編は「楽しむ側」としてかなり朗報かもしれないということ。ミルンの書いたものをうまく取り入れるというし、絵もトーンをあわせるというし、ディズニーもS・S社もでしゃばってこないで、素敵なプーさんの絵本が読めるかもしれないということです。

あーなるほど、著作権じゃなくて商品化権だけなのか!ここはいつも書いててあやふやだったのでした(という言い訳)。裁判も勝ったり負けたり(正確には反則勝ちか?)ということは理解しつつもその一つ一つがどういうものかわからなかったので本当に助かります。

ということで毎回あやふやだったプー関係の訴訟周りまでまとめていただき本当にありがとうございました。しかし毎回思うけど本当にいろいろご存じですごいなあ。。。ついでに過去dpost.jpで取り上げたプー訴訟がらみのエントリはこちら。間違った表現も残ってますがこのエントリへのリンクを追記しました。

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