本当だったらすごいニュース。ピクサーの買収により大きく変化したディズニーの長編アニメーション部門。日本では地味な展開しかしなかったホーム・オン・ザ・レンジを最後に伝統的な2Dアニメーション制作をやめ、派手な展開の割に話題にならなかった
チキン・リトルのような3DCGによる制作に切り替える、という話が公式に発表されたのは記憶に新しいかと思います。しかし、Disney returning to hand-drawn animationという記事によると、ディズニーは再度ハンドドローイングによる2D手法を取り入れるのではないか、ということがささやかれているそうです。
で、この記事を追っていくとどうやらそのネタもとはジム・ヒル氏のブログ、Traditional animation’s slow-but-steady return to Walt Disney Studiosのようです。これによると私もすっかり忘れていたディズニーの長編「Enchanted」(アラン・メンケン参加のミュージカル映画。どうやら直球のおとぎ話みたい。過去の記事はこちら)こそがその2D作品になるだろう、とのこと。そしてそれはまさにピクサー買収効果のようで、ジョン・ラセター自身がハンドドローイングの映画を切望しているというようなことも書かれています。2007年公開ということですが、この点についてはちょっと眉唾(この発表のときに触れられてないから)。ということでまだ正式に発表されたわけではないですが、楽しみに待つことにしましょう。
余談ですが、ここで言う「ハンドドローイングアニメーション」とか「2D」というのは手書きを含む絵をもとに映像を作るということを指してはいますが、「セル画を使って映像を作る」ということとはまた別です。ディズニーはずいぶん前からセル画は利用しておりません(最後の作品がどれなのか忘れたけどリトル・マーメイドあたり?識者のツッコミ期待)。確かWDWのマジック・オブ・ディズニーアニメーションあたりでやってますが、手書きの絵をスキャナで取り込んでデジタル彩色しています。これが上記で言うところの2Dとなります。
update
セル画を使った最後の作品はやはりリトル・マーメイドでした。→◆◆◆プレスリリース◆◆◆『リトル・マーメイド プラチナ・エディション』
『リトル・マーメイド』はセル画を使った伝統的な手法で作られた最後の作品であり、ディズニーが培ってきた伝統技術の集大成でもあります。逆巻く嵐の海、海面の光の反射、水中の屈折、さざ波や気泡。これらは全て、マーク・ディンダル率いる特殊効果アニメーターたちの努力の結晶です。現在のようなコンピューター処理を全く使っていないため、大変な努力と技術が要求されます。この映画では前編の約8割に何らかの特殊効果が用いられ、スタッフは、1940年の傑作『ピノキオ』の海のシーンを大いに参考にしています。
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