映画「アラジン」の深み

ディズニー(2013年以前の記事)

先にいっときますが[映画紹介第7回]アラジン by dpost.jpのリライト。

まもなくDVD化のアラジン、すげーもう10年以上前の作品か。上映当時は前年度の「美女と野獣」の、ディズニー映画としては近年類を見ないほどの大ヒットをかまし、旧来のディズニーファンだけでなく幅広い層の心を掴み、ファン層を広げた翌年の出来事だけに、美女と野獣以上にマスコミに取り上げられた記憶があります。私も実はその美女と野獣からのファン。アラジンについては確かぴあで行われた試写会を見に行った記憶があります。

んで、マスコミの取り上げられ方は「美女と野獣を超えるラブストーリー」的扱い。このあたりからすでにブエナビスタジャパンはどんな映画でもラブストーリーとして取り上げるという癖がついてしまったのではないかと思うんですが、前作が前作だけにこの言い方をしておけば人が集まると思ったのでしょう。ところが、実際に映画を見てみると中盤からがらっと印象が変わって、ジーニーによるジェットコースタームービーになるのはちょっとびっくりしました。よーするにこの映画、ジーニーが主役なんですよ。

以前ちょっと触れた、ハワード・アシュマン&アラン・メンケンのCDボックスの収録タイトル見てもらうとわかるんですが、Final版となっていながら利用されなかった「Arabian Nights, Reprise (Unreleased Master)」というのがあることに気づくかと思います。これ、冒頭に登場するこの物語の狂言回し的な商人(ランプを売りつけようとするシーンね)が最後に再登場し、物語を締めくくるという曲になっています。ディズニー映画ではよくあるパターンのエンディングなのですが、注目すべきはこの商人の声を担当している人。オープニングの商人は、名優ロビン・ウィリアムズが担当してます。つまり、ジーニーの中の人なんですね。

となると、一つの仮説が出てきます。実はこの商人、自由になったあとのジーニーなのではないか?と言うこと。自分の過去を観客に話しているストーリーが本編アラジンのお話。その視点で見ると、この映画がちょっと違って見えるはず。・・・と言う前提で考えると、正直この映画をあのレベルの続編をして「3部作」と言い放つのもどうかと思うわけで。

しかし、このころの映画のクオリティは本当に高かった。世界観が確立されていないと、テーマパーク内のテーマランドとして作ること出来ないですからね。そういう意味では本当にスゴイ作品。DVD、売れるんだろうなあ・・・。

関連する記事: 2006-04-27

追記:2015年10月18日

上記、Peddler(商人)とジーニーが同一人物説について、Blu-ray発売に合わせたインタビューで監督が(あくまで当初案として)肯定するコメントをしました。というかいままで肯定コメント出てなかったんだ!!ぜひ全文をお読みください。

LINK:Aladdin directors FINALLY reveal truth about Robin Williams, Genie and the peddler – Mirror Online
Aladdin directors FINALLY reveal truth about Robin Williams, Genie and the peddler – Mirror Online

ちなみに劇団四季が上演しているバージョンの舞台版アラジンでも、冒頭の商人がジーニーに代わっており、上記の意図をくんだ形になっています。

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